姿勢問題

今回の制作開始に当たってまずブチ当たった問題がこれ、姿勢。
どういう向きで大気圏に再突入してきたということなんですが、特に根拠もなく(地上人の常識に縛られて)サンプラーホーンが地球側、パラボラが反対側、と思っていたのですが、衝撃の画像が!!

これは現在東京・上野で開催中の「空と宇宙展」の公式イラストとして描かれたものだそうで、あの高荷義之画伯によるもの!
我々にとっちゃ、プラモのボックスアートの巨匠として不動の地位を築かれたビッグネーム!!
会場で販売されるポストカードやクッキーのパッケージに使われているそうです。ほ、欲しい・・・

・・・で、まあ高荷画伯も衝撃なんですが、それより前にこの絵の中の機体の向き!
ひっくり返っちゃってます! これはいったい!?

はやぶさは地球と通信するために頭のでっかいパラボラを地球に向けています。いるはずです。ですから、そのまま再突入したら確かにこの向きなんですが・・・
これは調べてみなければいけません。なんせめちゃめちゃ大事な問題です。

文献を漁ると、どうやらどんなときもこのパラボラを地球に向けておく必要はないようです。はやぶさの通信装置には高利得アンテナ(パラボラ)以外に、中利得アンテナ、低利得アンテナがあって、この3つを使い分けています。地球からの運行指示を行う場合は高利得アンテナ、もしくは中利得アンテナを使いますが、航行中のこの指示は週に一回、火曜日のみに行われていたということです。
あとは位置情報を送ってくるビーコンを常に捉えていて、運行に間違いがないかチェックしていたとか。

それに加えて再突入時の行動、これもとある はやぶさ本から読み取ります。
まずは抱えてきた大事なカプセルを射出するにあたり、燃え尽きてしまうことがないよう、計算された角度に姿勢制御されます。
無事に最後の仕事であるカプセル射出を終えた後、はやぶさ君はあの有名な地球の写真を撮るのですが、この際に使用されたカメラは本体底面のカメラだそうです。カプセル射出体勢からこの撮影体勢に移行するのはひと仕事だったようで、何回か撮影は試みられたようですが、地球の映ったあの画像は一番最後の撮影だそうで、撮影後データを転送する間にはやぶさが地球の影に入り、通信が途絶したとのこと。画像の下の方が切れているのはこの通信途絶によるものだそうです。

と、ここまで検証していくと、少なくとも地球と通信をしていた最後の瞬間は本体底面(サンプラーホーン側)を地球に向けていたことが分かります。ただ、そこから先というのは発表されている情報にはなく、どうやらその後の姿勢の変化というのは重要な研究テーマでもあるということなので、簡単に一般に出回る情報ではないようです。
もしかしたら大気の衝撃でくるくる回り、イラストのような逆さま姿勢になったのかもしれませんが、私としては目下分かっている最後の姿勢での制作を決定したいと思います。



・・・って、おい、模型の写真ねーよ!